CYDEF 2020(サイバーディフェンスカンファレンスジャパン)
CYDEF2020テーマ | コロナ後のパワーシフトを読み解く ~変容する社会様相、ビジネス形態、安全保障環境~ |
CYDEFについて | CYDEFは、安全保障領域を中心としたサイバーセキュリティに関する議論の深化、知見の普及を図るため、国内外の学術・産業・政府、それに防衛部門の有識者を集めて開催している国際会議です。 2018年4月に開催した1回目の会議、CYEDF2018では、「サイバーディフェンスケーパビリティビルディング」(”Cyber Defense Capability Building”)をテーマに海外からの17名の登壇者を含む35名の講師、約200名の視聴者が集いました。2019年10月に実施した2回目の会議、CYDEF2019では、「リスクの評価と協力の確立」(”Assessing National Risk and Establishing Multi Stakeholder Cooperation in Cyber Defense”)をテーマに海外からの21名の講師を含む58名の登壇者、約350名の視聴者が集いました。共に組織等の敷居のみならず国家等の枠組を越えて議論する中に、産学官それに防衛との連携、各国との協力の在り方を検討し、その相互理解に資することができたように思います。 今回のCYDEF2020では現在世界の大きな脅威となっているコロナ禍を契機に国際環境、社会情勢が劇的に変化していることを議論できればと考えています。現在企業等の組織活動ではこれまでにない速度でテレワーク化が図られ、学校等の研究教育活動でも遠隔教育化が進み、政府の行政サービスのオンライン化も加速しています。リアルな関係からバーチャルな連携へ、それは可逆的なものではなく、不可逆的なものに思われますが、その先にある世界はどのようなものになるのでしょうか。 また社会の急激な変化は混乱を招きます。コロナウィルスの脅威からの退避のために、十分な準備のないままサイバー領域に持ち込まれつつある大量の情報は、格好の攻撃対象となっています。そのような現実にどのように対応していくべきなのでしょうか。 さらに0と1のバイナリで世界が形作られるサイバー領域にあっては、曖昧さは排除され、空間的バッファーは消散し、対立は先鋭化します。国家の活動も大きくサイバー領域に移りつつある今日、国家間の関係は緊張の度を高めつつありますが、それは今後どう進展していくのでしょうか。 このような話題等を、有識者と共に広くオンラインにて議論し、理解を深め、協力の素地を作るための機会になればと考えています。 |
主催 | ●サイバーディフェンス研究会 ●政策研究大学院大学 ●European School of Management and Technology Berlin ●明治大学サイバーセキュリティ研究所 |
後援 | ●サイバーセキュリティ戦略本部 ●総務省 ●外務省 ●文部科学省 ●経済産業省 ●防衛省 ●NATOサイバー防衛研究センター(the NATO Cooperative Cyber Defense Center of Excellence) ●米陸軍サイバー研究所 ●在日本アメリカ合衆国大使館 ●在日本インド大使館 ●在日本エストニア共和国大使館 ●在日本オーストラリア連邦大使館 ●在日本ドイツ連邦共和国大使館 ●在日本フランス共和国大使館 ●新技術振興渡辺記念会 ●横須賀市 ●横須賀リサーチパーク ●横須賀海洋・IT 教育の会 ●一般財団法人 機械振興協会 経済研究所 ●レンジフォース株式会社 |
実施形態 | ●基調講演:事前収録ビデオメッセージ ●パネルディスカッション:ライブ配信 |
プログラム | プログラム |
有識者からの CYDEF 2020へのメッセージ | 衆議院議員 中谷 元 氏: サイバー領域には距離と障壁がありません。遠く離れた場所からでも、全く縁遠いように思われた人々ともお話ができると同時に攻撃を受ける可能性があります。四面環海の日本では他の国に領土は接しておらず、何かが起きれば自衛隊がその間に入って守ってくれていると思っているかもしれませんが、ふだんの机の上にあるディスプレイを隔ててすぐ向こうには、国家の影響を受けたアクターがおり、軍事情報のみならずビジネス情報・個人情報も見境なしに奪い取っていきます。距離と障壁のないサイバー領域では、防衛問題は決して海の向こうの遠い世界の問題ではなく、オフィス・家庭の机上にある極めて身近な問題なのです。 CYDEFは世界各国の有識者が集い、そのような安全保障に関するサイバー問題を議論する場です。私も昨年CYDEFの登壇者の方々と意見を交換させていただく機会がございましたが、啓発されるところも多くありました。この機会に皆様にも是非ご参加をお勧めします。 ・・・ 日本サイバー犯罪対策センター(JC3) 坂 明氏: 昨今の困難な状況の中で、CYDEF2020が素晴しい方々をお迎えして開催されることをお慶び申し上げます。 実は、私は、今回の米国大統領選前の10月、米国サイバー軍司令官であり、NSA長官のポール・ナカソネ将軍がワシントンポストで語られたことに、ある意味ショックを受けております。 それは、米国サイバー軍が、米国大統領選を守るために、Trickbot、ランサムウェアの配布基盤として利用されているボットネットを叩く作戦を展開している、という内容でした。謂わば、軍が、民主主義という国家の根幹を守るために、犯罪者のインフラを叩くというもので、しかも、そのオペレーションは、ポール・ナカソネ氏がNSA長官として語った「persistent engagement」、恒常的な作戦の一環とも位置付けられています。 一方で、司法省・FBIは10月19日に、ロシアの諜報部員を、2015年から2016年のウクライナに対する攻撃、2017年のNotpetya等について訴追したことを発表しました。記者会見では、この時期の訴追発表は大統領選のタイミングを狙ったのかという質問もあり、司法省は単に捜査が尽くされた時期というだけである、と答えていましたが、この訴追が状況に影響あることは間違いないでしょう。同時に、英国外務省もロシアによる攻撃について発表しています。 ボットネットやランサムウェアは、その高度化によって、重要インフラや国家を攻撃した場合、例え経済的利益を狙った犯罪者によるものであっても国家やこれに準ずる組織が行ったときと同様の破壊力を持ち、また、Notpetyaに見られるように、国家がランサムウェア的手法を用いて攻撃的な活動を行っているとの指摘もなされているところです。 このような状況を見ると、現在は「国を守る」「民主主義を守る」「産業や国民の生活を守る」ためには、軍・インテリジェンス機関・法執行機関・外交・通商・産業担当部局が協力した、正にナカソネ氏の言われる‘whole-of-government’ approach が求められている情勢にあると言えます。そして、軍のような防衛のための組織は、そのリソースや経験・知見・能力から、こうした総合的な取組みをリードし、支える役割を有しているものと思います。 更には、そのような取組みには、志を同じくする国々と人々による具体的な協力が不可欠であることも、特にこのサイバー分野では言えると思います。 このような意味で、防衛関係を中心に、第一線でこのような業務に従事されている内外の方々の集うCYDEFは非常に意義深いものであると考えております。私自身、ハイレベルな講演者の方々のお話を伺うことを大変楽しみにしておりますが、また多くの方々のご参加を期待しております。 最後に、GRIPS OBとして、政策研究大学院大学で、この素晴らしいCYDEF2020が開催されることを大変うれしく思っていることも付け加えさせていただきます。 ・・・ サイバー防衛シンポジウム熱海2020大会委員長/元陸上自衛隊システム防護隊隊長 伊東 寛氏: 世界は今、新型コロナウイルス蔓延の影響で大変なことになっています。 しかし、このような状況下でもサイバー攻撃者の活動が収まるわけではなく、むしろ、この騒ぎを利用した攻撃は増えています。これらの攻撃は主に金銭目的の犯罪なのですが、それだけではなく、コロナ騒ぎそれ自体が実態以上にマスコミ・ネット界隈で騒がれている感も強く、これは、その背後に国家レベルのサイバー謀略・心理戦としての実験があるからなのではないかとさえ思えるほどです。もし、万に一つ、そのような裏があるとすれば、このようなサイバーを利用した情報操作、フェイク~影響力作戦が、21世紀の新しい戦争である情報戦争の手段として、近年、世界各国の国益追求の有力な手段の一つとなってきた事と何かの関連があるのかもしれません。 戦争は変わりました。古典的な物理的武力行使、いわゆる戦争の時代から情報それ自体を武器として利用する情報戦争の時代へと世界は変貌しているのです。 このような時期に、今回、欧州、米国などからこの分野における著名な方々の参加を頂き、サイバーディフェンスの国際シンポジウムをこの日本で開くことになった事は真に時機を得ており素晴らしいことだと思います。 サイバーと安全保障に興味を持つ、大勢の方々の参加を期待しています。 ・・・ サイバーディフェンス研究所 名和 利男氏: 対策のコストや難易度が高まり続けているサイバー攻撃に対する企業の努力は限界を迎えようとしています。しかし、日本は未だ国家の意思を示した(法的任務を与えられた)国民や社会を守る責任を持つ機関の創設に着手していません。 そのため、日本企業は、今後も自助・共助を通じたサイバー防衛をしていかなければならない状況にあると言えます。 そのような日本企業が、限られた予算や人的リソースの中で、今後のサイバー攻撃に首尾よく対処していくためには、気象予報のような取り組み、つまり積極的な情報収集を行った上で、「結果の予見可能性」を高める努力をすることが最善の取り組みとなります。 このCYDEF2020は、サイバー防衛に責任を持つ実力組織のトップレベルの実務専門家が集結し、広範かつ深遠な状況認識と的を得た洞察が得られる貴重な場です。 「彼を知り己を知れば百戦殆からず」に基づいたサイバー攻撃対策に着手されている企業にとって大変有益なものとなります。 |
タイムテーブル
1日目: 2020/12/2
※発表は全て同時通訳されます。プログラムは予定です。当日変更となる可能性があります。予めご了承ください。
登壇者 | ||
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1600- | Greeting 1-1 | ●中谷元氏、衆議院議員 |
– | Greeting 1-2 | ●サンドロ・ガイケン博士、ESMTベルリン大学 |
-1615 | Greeting 1-3 | ●角南篤氏、公益財団法人笹川平和財団理事長 |
1615-1620 | Cautions Remark | スタッフ |
1620-1640 | Keynote Speech 1-1 | ●クリスチャン・リフランダー氏、NATOサイバー防衛部長 |
1640-1700 | Keynote Speech 1-2 | ●田浦尚之陸将補、統合幕僚監部 指揮通信システム部長 |
1700-1720 | Keynote Speech 1-3A Keynote Speech 1-3B | ●ヤーク・タリエン大佐、CCDCOE所長 ●ルドルフ・ヒルティ氏、システムチェンジ財団・ HUS社社長創業者 |
1720-1840 | Panel Discussion 1-1 【サイバー防衛/外交】 | ●MD:サンドロ・ガイケン博士、ESMTベルリン大学 ●ジョン・マレリー博士、WFA Group, LLC CTO ●ヘリ・ティルマ・クララ氏、エストニアサイバー外交大使 ●赤堀毅氏、総合外交政策局審議官 兼 国連・サイバー政策担当大使 ●トーマス・フィッチェン博士、ドイツ連邦外交局サイバー外交政策およびサイバーセキュリティ特別代表 |
1840-1900 | Keynote Speech 1-4 | ●ジェシカ・ダウソン少佐、米陸軍サイバー研究所 |
1900-1920 | Keynote Speech 1-5 | ●田中達浩氏、富士通システム統合研究所(元陸上自衛隊通信学校長) |
1920-1940 | Keynote Speech 1-6 | ●クリス・イングリス氏、米海軍兵学校サイバー学部客員教授 |
1940-2050 | Panel Discussion 1-2 【日米豪印のネットワーク】 | ●MD:道下徳成 副学長、政策研究大学院大学 ●佐々木孝博氏、富士通システム統合研究所 ●トリシャ・レイ氏、インド・オブザーバーリサーチ財団 ●マーチン・ラッサー博士、CNASシニアフェロー ●ローリーメドカルフ博士、国家安全保障大学学長 |
2100-2120 | Keynote Speech 1-7 | ●マイケル・クリップスタイン博士、アメリカ国家安全保障会議 |
2120-2140 | Keynote Speech 1-8 | ●渡辺秀明氏、元防衛装備庁長官 |
2140-2200 | Keynote Speech 1-9 | ●トビアス・ファーキン博士、オーストラリアサイバー・クリティカルテクノロジー大使 |
2200-2310 | Panel Discussion 1-3 【サイバー法制】 | ●MD:湯浅墾道教授、情報セキュリティ大学院大学 学長補佐 ●高橋郁夫氏、弁護士 ●ジョエル・ブレナー博士、MIT国際関係研究センターシニアリサーチフェロー ●メリッサ・ハザウェー氏、ハザウェイグローバルストラテジー社社長 |
2310-2320 | Greeting 1-4 | スタッフ |
2日目: 2020/12/3
※発表は全て同時通訳されます。プログラムは予定です。当日変更となる可能性があります。予めご了承ください。
登壇者 | ||
---|---|---|
1600- | Greeting 2-1 | ●大六野耕作教授、明治大学学長 |
– | Greeting 2-2 | ●道下徳成教授、政策研究大学院大学副学長 |
-1615 | Greeting 2-3 | ●林良造教授、機械振興協会 経済研究所長 |
1615-1620 | Cautions Remark | スタッフ |
1620-1640 | Keynote Speech 2-1 | ●バーナード・バシル・シモン氏、ブリュッセル外交アカデミー経済外交部長 |
1640-1700 | Keynote Speech 2-2 | ●三角育生教授、国立情報学研究所/東海大学情報通信学部、前内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター副センター長 |
1700-1720 | Keynote Speech 2-3 | ●ヤン・タロウ・コーチャード様、代表取締役 北アジア担当 マーケティングディレクター |
1720-1840 | Panel Discussion 2-1 【高等教育におけるサイバー防衛教育】 | ●MD:近藤玲子氏、総務省国際戦略局通信企画課長 ●ディダー・ダネ教授、フランス陸軍士官学校 ●フランチェスカ・スピダリエリ教授、ソルブ・レジーナ大学 ●満永拓邦准教授、東洋大学 ●タンピノンゴール・セバスチャン教授、 NATO通信学校・イノベーション・開発学部長 |
1840-1900 | Keynote Speech 2-4 | ●平山敏弘教授、情報経営イノベーション専門職大学 |
1900-1920 | Keynote Speech 2-5 | ●クリス・デムチャック博士、米海軍大学、サイバーイノベーション政策研究所 |
1920-1940 | Keynote Speech 2-6 | ●松岡秀樹様、日本 Oracle |
1940-2050 | Panel Discussion 2-2 【サイバー分野における先進的技術】 | ●MD: ラウリ・コルツパルン氏、サイバーディフェンス研究所 ●デイブ・アイテル氏、アイテルファウンデーション、イミュニティ社創設者 ●ソフィア・ダントン氏、マージンリサーチ社創設者 ●吉村孝広氏、株式会社モノリスワークス 最高技術責任者 |
2100-2120 | Keynote Speech 2-7 | ●ジェームス・ルイス氏、CSIS上級副社長 |
2120-2140 | Keynote Speech 2-8 | ●手塚悟教授 慶応義塾大学 |
2140-2200 | Keynote Speech 2-9 | ●マイケル・チャートフ氏、元DHS長官、チャートフグループ社長 |
2200-2310 | Panel Discussion 2-3 【企業におけるサイバー地政学の影響】 | ●MD:池上重輔教授、早稲田大学 ●フィリップ・ボマード氏、LeCNAM ●ロブ・コップス氏、ジェオエコノミクス社長 ●近藤剛氏、弁護士 |
2310-2320 | Greeting 2-4 | ●矢野義昭様、東京工業大学講師 |